おうちモンテ=家庭でできるモンテッソーリ教育の一つが、掃除。
そこで今回は、1歳児でもできる簡単な掃除についてご紹介します。
前回の【料理編】の続きですので、ぜひ合わせてご覧下さい。
関連記事:1歳児でもできる!おうちモンテ【料理編】
掃除といっても、新しく何かを用意する必要はありません。
普段ご家庭で行う工程の一部を、一緒に手伝ってもらうイメージです。
料理と掃除の重要な違い
掃除のお話をする前に、前回ご紹介した料理との重要な違いについてお伝えします。
料理は、主に指先を使う巧緻動作(微細動作)=静です。
掃除は、主に全身を使う粗大動作=動です。
子供は、この静と動の動きを、絶え間なく繰り返しています。
そして、月齢が低ければ低いほど、このサイクルが短くなります。
つまり、静と動の両方を適切に満たすことが、発達には必要不可欠なのです。
掃除の要素
掃除にも、実に様々な活動要素があります。
その中でも、1歳児から簡単にできるのは以下のようなものが挙げられます。
- 捨てる
- 拭く
- かける
- こする
- 掃く
では、それぞれの活動要素に必要な道具や段階付けについて、詳しくみていきましょう。
捨てる
ゴミをゴミ箱に捨てる作業です。
【あるべきものがあるべき場所にある】を教えることで、後々お片付けにもつながっていきます。
持ちやすく目につきやすいもの(チラシやティッシュを丸めたものなど)を、大人が直接手渡してあげるところから始めましょう。
ゴミとゴミ箱を認識できるようになったら、徐々に床に落ちているゴミを自ら拾うように誘導します。
きちんとゴミ箱に捨てられたら「ありがとう!」と笑顔で声をかけることをお忘れなく!
子供のやる気が育ち、意欲的に行ってくれるようになります。
1歳7ヵ月になる私の息子は、歩き始めて両手が自由に使えるようになった頃からこの作業を教え(もちろん、こちらから無理強いしたのではなく、物を持って歩くのを喜んでいる姿を見てからです)、今では大人には到底目につかないような小さなゴミを拾って、自らゴミ箱に捨ててくれます。
お片付けも、声をかければほとんど自分でできるようになりました。
拭く
雑巾で床や窓を拭いたり、布巾で机を拭く作業です。
布を広げた状態を保ったまま動かすというのは案外難しいので、最初は乾いたガーゼや小さなハンドタオル、それも難しければスポンジから使い始めると良いと思います。
また、拭く範囲が限定されていて、拭けたかどうかが一目でわかりやすいよう、水滴などから練習すると効果的です。
慣れてきたら、摩擦(抵抗感)が増す濡れた布で、広範囲の窓や床を拭くお手伝いをしてもらうと、全身を思う存分使い、立派な運動になります。
かける
掃除機やモップをかける作業です。
最初は、ハンディタイプの軽いモップでテレビなど限定された範囲のほこりを取る作業から始め、徐々に柄のついたフロアワイパーで広範囲の床などにかけるお手伝いをしてもらうと良いでしょう。
こする
スポンジやブラシでこする作業です。
これまで同様、小さなブラシで洗面所など限られたところを掃除するのも良いのですが、この作業に関してはずばりお風呂掃除をおすすめします!
人体に害の少ない重曹とクエン酸を混ぜると化学反応で泡が出るので、その泡で床や壁をごしごしこすると泡が広がり、子供はとても喜びます。
水遊びがてらぜひダイナミックに、思う存分やってみて下さい。
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泡立ちもよく、レモングラスの良い香りに癒されます~。
掃く
ほうきで掃く作業です。
実はこれが最も難しい作業です。
というのも、掃く先には必ず目的とする場所があり、そこに向かって一方向に行わなくてはならないからです。
最初は、ほうきで新聞紙やティッシュを丸めたものを転がす練習から始めます。
慣れてきたら、徐々に対象物を小さくしていくと上手く段階付けできます。
さらに難しくするなら、片手にほうき、片手にちりとりと、両手で道具を扱うと良いでしょう。
掃除を通して得られる能力
ここからは作業療法士の視点を通して、得られる能力についてご紹介します。
少し専門的な内容になりますが、ぜひご覧ください。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 関節の柔軟性や筋肉の力
- 両手の協調性
- 目と手の協調性
- 注意力
- 空間認識力
ではそれぞれについて、できるだけ分かりやすく解説します。
1~3については、前回の【料理編】に詳しく記載していますので、ぜひそちらをご覧下さい。
関連記事:1歳児でもできる!おうちモンテ【料理編】
注意力
医学的には、注意力には以下の4つの側面があります。
〇持続
物事に集中して取り組むために注意を向け続ける機能。
〇選択
沢山ある情報の中から、必要な情報だけに注意を向ける機能。
〇分配
2つ以上のことに同時に注意を向ける機能。
〇転換
ある物事に注意を向けている状態から、他のものごとに注意を向ける機能。
掃除という作業は、この4つの側面を存分に使います。
例えば、窓が汚れているとします。
汚れを見つけるためには、窓ガラス越しに様々な景色が視界に入ってきますが、注意の選択をして汚れだけに着目する必要があります。
次に、その汚れを落とすために布巾でこすります。こすり続けるためには、注意の持続が必要です。
汚れが落ちた後、他にも汚れていないか注意を転換させて探す必要があります。
この作業では分配の要素は少ないですが、例えばほうきとちりとりでゴミを取る場合、その両方に注意を分配させなければなりません。
このように、私達が普段何気なくしている作業に、実に多くの注意力を用いています。
空間認識力
専門的には、構成力や視空間認知などと言いますが、分かりやすいようここでは空間認識力と呼びます。
空間認識力とは文字通り、空間を認識する能力です。
私達が生きているこの世界は、立体的で、とても複雑な形の組み合わせからできています。
その一つ一つのものの大きさ、広さ、高さ、奥行き、幅・・・を、私達は無意識に、瞬時に判断しています。
掃除ではこの空間認識力を存分に使い、適宜身体を動かす方向や、力加減を調整しています。
以上、おうちモンテ【掃除編】についてご紹介しました。
前回も書きましたが、おうちモンテに取り組むうえで最も大切なことは、決して親が無理強いせず子供が心から興味を持った作業を、思う存分やらせてあげることです。
ぜひ外出自粛の今こそ、お子さんと運動がてら楽しく掃除してみて下さい。
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最後までご覧頂き、ありがとうございました。